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メレバンク・カフェ(5) - メレーの欠けについて

製品の検品でメレーの欠けが見つかったら、石留めの際に欠けたのだろうと、職人の責任と決め付けるのが一般的反応ではないかと思います。鏨(たがね)が滑ってダイヤを欠いてしまう事がたまにあることも事実です。しかし、まともな職人が自分で石を欠いたことも気付かずに納品することがままあるとは考えられませんから、弱い立場の職人が覚えがないのに責任を問われる例が少なくないのではないかと私は思っております。ダイヤは信じられないほど簡単に割れる例があるのです。

ダイヤモンドは硬度10、世界で最も硬い物質です。硬いから欠けたり、割れたりしないかというと、そんなことはありません。硬度というのは異なった物質をこすり合わせた時にどちらにキズがつくかということで、割れにくい、欠けにくいということではないからです。

ダイヤにはクリベージ(劈開性)というある方向に力を加えると、結晶面に沿って割れるという性質があって、さほど大きな力でなくてダイヤは簡単に割れます。世界で最大のカリナンダイヤモンドはこの方法で分割されました。依頼を受けたヨーセフ・アッシャーは1度失敗して2度目に成功した瞬間気絶したと伝えられていますから、クリベージの方向を探して正しく打撃を与えるのはかなり難しい作業と思われます。しかし、偶然にクリベージの方向に力がかかるというのはありうる話で、かつてインドで買い付けたメレーが到着した時、その中の1ピースが真二つに割れていたことがありました。偶然クリベージの方向に何らかの力が加わったものでしょう。

ダイヤはまたガードルが薄く磨かれていますから、ガードルを強くぶつけるとガードルは欠けます。指輪をずっとはめていますと知らず知らずのうちに、ドアやテーブルや床などに指輪をぶつけていますので、ガードルにダメージを受けているケースは多いのです。リフォーム時にメレーをはずしてみると何割ものメレーが欠けていることも珍しくありません。

超音波洗浄器やメッキなどでダイヤが破損するケースもあります。度々起こることではありませんがダイヤが割れっこないと思っていると大きなトラブルに見舞われる恐れがありますから、加工や洗浄など手を加えたときには必ずメレーの状態をチェックする習慣をつけることと、消費者にダイヤは欠けたり、割れたりすることがありえることをきちんと説明する姿勢が必要ではないでしょうか。


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